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【事例から学ぶ】行動観察調査を行うための5つのステップ

「行動観察調査」によって、サイトやサービスの課題を把握し、UX改善を行いたい。しかし、それらを効果的に進める方法や手段が分からずに困っている、という担当者の方は少なくないのではないでしょうか。

「行動観察調査」とは、消費者が実際にサイトやサービスを利用する様子を観察することによって、行動パターンや行動原理を把握する調査のことです。
数値などの定量的なデータだけでは測り切れない消費者の真の行動原理や行動パターンを把握することができるため、UXを向上させて利益をあげていくためには欠かせない調査手法です。 

実際、5人の調査で、約80%の課題を抽出できる*と言われています。

*出典:Why You Only Need to Test with 5 Users (Nielsen Norman Group)

そして、明らかになった課題をUX改善の施策に活用することで、サイトのアクセス数の向上や、サービスの利益向上に結び付けることができます。

それでは、どうすれば行動観察調査によってUXの課題を正しく認識し、効果的なUX改善を行うことができるでしょうか。

1000社以上のご支援実績のあるコンサルティングファームの株式会社メディアシアターでは、行動観察調査を効果的に活用することで、多くのマーケティング戦略の刷新に寄与してきました。
今回は、行動観察調査の5つのステップと3つのメリットについて解説します。

行動観察調査によってCVRを150%向上させた事例

行動観察調査は、サイトや商品に関する情報を統計などで数値化する「定量調査」ではなく、行動調査によって行動パターンや行動原理を把握する「定性調査」です。そのため、データだけでは分からない消費者の真の行動原理や行動パターンを把握するために非常に重要です。

たとえば、このような事例があります。

とある家具のECサイトは、「一人暮らし向けソファ」という特集を組みましたがCVRが伸びなかったため行動観察調査を実施しました。結果、「サイズが数字で記載してあるだけではイメージが沸かない」「一人暮らし向けとはいえ、自分の部屋にちょうどいいのかが不安」といった心理によって購入に至っていないことが分かりました。

そのため、特集を「6畳から8畳のワンルームでもOK!小さめソファ特集」に変更し、それぞれの製品を6畳、7畳、8畳の部屋に置いた時のイメージ写真を掲載したところ、CVRが2倍になりました。
つまり、行動観察調査を行うことで、消費者の真の行動原理や行動パターンを浮き彫りにし、課題解決につなげることができます。

弊社は、様々な会社の支援を通じてCVR向上を成功させてきました。下記URLに弊社の支援事例を掲載していますので、是非ご参照ください。

プロジェクト実績

以下に、行動観察調査の全体のステップを図にまとめました。

それでは、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

行動観察調査を行う5つのステップ

ステップ① 調査の設計

行動観察調査において、調査の設計はかなり重要です。この設計がうまくできていなければ、それ以降のステップでつまづきを起こす確率が高くなり、成果を最大化させることができなくなります。
このステップで行うことは、以下の3つです。

①仮説を立てる
サイトを改善するにあたって、まずは仮説を立てます。
改善するべき課題はいくつかあると思いますが、自社のサービスにおいてできるだけ改善のインパクトがある仮説から優先して考えましょう。

②検証ポイントを明確化する
続いては、①で立てた仮説から、調査で明らかにする検証ポイントを明確化しましょう。
このポイントが曖昧なままだと、意味のある検証を行うことができず、期待するような結果が得られなくなってしまいます。

③検証方法を考える
検証ポイントが明確化できたら、それを検証する方法を考えます。被験者の行動観察や行動の意図の深掘りなど、臨機応変に検証方法を設定しましょう。

このように、何を明らかにするのかを明確にし、それを検証するための細かい調査項目を策定していくことが大事です。

ステップ② 対象者の収集

調査の検証項目が明確化されたら、実際に調査の対象となる被験者を収集します。被験者は調査する商品やサービスのターゲット層に合致した人々を選ぶ必要があります。

被験者の収集方法はいくつかありますが、自社の顧客リストから集めることができれば最適です。顧客リストに対して、調査依頼のアンケートを流して架電やメールで収集をします。
ただ、十分な顧客リストがなく被験者を集められないケースが殆どだと思います。その際には是非調査会社を利用して被験者を集めましょう。被験者の条件をまとめたリストがあれば、あとは調査会社の方々が被験者を収集してくれるため社内リソースを軽減してくれるという利点があります。

実際に被験者が収集できたら、実際に調査の実施に移ります。

ステップ③ 調査の実施

調査は、被験者と調査人とメモ係で行います。事前に作成した調査項目を基に、実際にサイトを使ってもらうという形式で調査を行います。この際に気を付けていただきたいのが、「純粋に観察すること」です。
こちらから意見を聞き出そうとすると、調査者の意図が混入してしまいます。あくまで被験者から純粋に発生する行動データを記録することが目的であるため、質問したい気持ちを我慢して純粋に観察しましょう。

ステップ④ 調査結果の分析

行動観察調査が終わったら、あらかじめ立てた仮説とユーザの行動データを照らし合わせます。
この際に、ユーザが行動した際の「順序」や「流れ」に注目し、CVに至った要因・至らなかった原因を把握し、流れの中でのユーザのつまづきを明らかにします。

このような分析をすることで、これまで見えていなかったユーザの行動に気づき、よりユーザの状況に合わせた改善施策を発見することができます。

ステップ⑤ 調査結果を踏まえて画面に反映

行動観察調査の最終的なゴールは、調査によって確度の高い改善施策を策定し、実際に成果を出すことです。そのため、調査の分析ができたら、実際に改善施策を具体化していきましょう。
この際に注意すべきことは、優先度の高い施策から具体化を検討するということです。施策を打つにしても、予算や工数・改善インパクトを加味した上で、優先して行うべきものを定義すべきです。

下記は、施策の優先順位の付け方の例ですので参考にしてみてください。

行動観察調査の3つのメリット

マーケティングにおいて、行動観察調査を行う主なメリットを3つご紹介します。

顧客の本音を引き出しやすい

アンケートやインタビュー調査によって得られる情報は、消費者が意識的に行っていることを言語化したものにすぎないため、消費者が「このように考えた」「このように行動した」と自覚していることしか、調査の結果として得ることはできません。しかし、人間の多くの行動は無意識に行われており、商品やサービスを利用しているときもそれは同じです。
つまり、顧客の本音を導き出すには、消費者の行動を観察した上で、行動の意図や心情を聞き出す「行動観察調査」が有効なのです。

例えば、以下のような事例があります。


とある大手英会話塾では、ビジネスマン向けの新しい英会話サービス考案のために、利用者にアンケートを行いました。アンケートの結果、「よりレベルの高い講師に手軽に教わる」ということにニーズがあるという結果が得られたので、ハイレベルのビジネスマン向けの英会話特設ページを製作しました。しかし、そのサイトのCVRは思うように伸びませんでした。

そこで、行動観察調査を行ったところ、「レベルの高い講師だと、今の自分にはハードルが高いと感じてサービス検討を諦めてしまう」という行動心理を発見しました。
そのため、「初心者でも安心の手厚いサポートを質の高い講師から教わることができる」というメッセージにしたところ、CVRの改善が見られました。

このことから、ユーザの声と本音(心理)は必ずしも一致しないため、ユーザの心理を捉えることで最適な改善示唆が得られることがわかります。

商品やサービスのリアルな利用方法を知ることができる

顧客がサービスを利用する際に、こちらが想定しているような方法で利用しているとは限りません。そのため、開発者側と利用者側の想定のギャップを無くし、最も効果的な方法で商品やサービスを利用してもらうためにも、行動観察調査は有効です。

例えば、以下のような事例があります。


とある健康食品メーカーでは、サプリの売上向上のためにLPを制作しました。CVRが思うように伸びなかったので行動観察調査を実施したところ、ユーザーはLPを見てそのままコンバージョンするのではなく、他社の複数の製品詳細ページと比較したうえで商品を購入していることが明らかになりました。
さらに、「同じ効果の他のサプリとの成分の違いが気になる」という発言から、含有成分を比較するために他社サイトとLPを行き来していることが分かりました。

そのため、他社製品との含有成分を比較した表をLPしたに掲載したしたところ、サイトの離脱率が減少し、CVRが向上しました。

このように、行動観察調査によってユーザーがサイト上でどのような思考に基づいてどのような行動をしているのかを明確にすることで、開発者側の想定とユーザーの行動とのギャップを少なくしていくことができます。

商品やサービス購入に至った理由や離脱した背景を理解できる

行動観察調査を行うことで、ユーザーが商品やサービスの購入に至った理由や背景を知ることができます。アクセス数や申込数がなかなか増えないのには、サービスの提供者側からは想像もつかないような深層心理が関係しているのかもしれません。
行動観察調査によってユーザーの行動の裏に隠された本音を読み解くことで、今まで見えなかった課題を見つけることができます。

例えば、以下のような事例があります。


とある化粧品メーカーでは、ECサイトのアクセス数向上のため、40~50代に向けたエイジングケア商品を紹介するLPを作成しました。しかし、CVRが思うように伸びなかったので、実際に行動観察調査を行いました。
すると、ユーザーは「エイジングケア商品を購入することによって自分の加齢を認めることに抵抗がある」という心理によって購入をためらっているということを発見しました。

そのため、想定するターゲット年齢よりも少し若いクリエイティブを使用することで、CVRが向上しました

行動観察調査を行うことによって、商品やサービスの購入を決める際に感じる心理を深掘り、改善策を見出すことができます。

まとめ(UXの向上には行動観察調査によるユーザーニーズの深堀りが不可欠!)

今回は、行動観察調査によるUX向上の手法について解説しました。
効果的な行動観察調査を行うために重要なステップは、以下の5つです。

  1. 仮説を立てて調査を設計する
  2. ターゲット層に合致した被験者を集める
  3. 思い込みを捨ててフラットに観察調査に臨む
  4. 調査後に観察結果を検証
  5. 検証を基に改善施策の策定・実施

行動観察調査を行うことで、定量的なデータだけで想像できないようなような真のユーザーニーズや行動原理にたどり着くことができます。
UXを最大限向上させ、サイトやサービスから得られる利益を最大化するためにも、マーケティングにおける行動観察調査を実施してみてはいかがでしょうか。

UX改善のための効果的な行動観察調査の委託先をお探しの企業・Web担当者の方は、多数のUX改善のご支援実績があるMedia Theaterをぜひご検討ください。

Media Theater公式ホームページ

株式会社Media Theater(メディア シアター)のサイトリニューアルの実績にご興味ある方は下記をご参照下さい。

https://www.media-theater.com/consulting-projects/#place2

 

この記事を書いた人
今井 麻菜
MediaTheateにて営業アシスタントをしています。セミナー開催やブログ執筆等を務めています。WEBマーケティング担当者の方に有益な情報をお届けしていきます。

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