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デジタルマーケティング

プロのコンサルが使う「ユーザー調査」の3つのポイント

ユーザー調査によってサイト改善の実施を考えているのではないでしょうか?

弊社ではユーザーの真の行動・心理を把握するため「ユーザー行動調査」を行うべきだと考えます。なぜなら、ユーザー行動調査を実施することで、以下の3つのポイントを把握することができるからです。

ポイント①ユーザーの行動の理由
ポイント②ユーザーへの訴求方法
ポイント③サイト改善案の妥当性

本日は、1,000社以上のご支援実績のあるコンサルティングファームの株式会社メディアシアターのコンサルタントが、ユーザー調査について詳しく解説いたします。

※本来ユーザー調査には、アンケートを使った「定量調査」と、個別のユーザーにヒアリングをする「定性調査」がありますが、この記事ではサイトリニューアルを目的とするため定性調査を中心に解説します。

 

「ユーザー調査」によって申し込み数を270%改善した事例

ではまず、弊社クライアントの有料老人ホームのイリーゼ様の事例をご紹介します。このクライアントでは、サイトリニューアルの際に、ユーザー行動調査を行い、お申し込み数を270%改善しました。

背景:老人ホームの増加による競争環境の変化に加え、従来メディアでのプロモーションも限界に差し掛かっていた。
実施内容:ユーザー行動調査を行い、消費者目線でサイトリニューアルを行いました。
結果:お申し込み数が270%増加

この事例では徹底したユーザー行動調査により、データには表れないサイトを離脱した理由や、消費者の不安をユーザー一人ひとりにヒアリングし、それらの離脱要因の改善や不安を払拭するコンテンツを訴求することで、ユーザーにスムーズにお申込みさせることができました。

では、どのように改善をしたのか解説します。

ユーザー調査の3つのポイント

まず、ユーザー調査とは以下のように「ユーザーひとりひとりにヒアリングを行う手法」です。このように個別にヒアリングをすることで、データには表れないユーザーの本当の行動や心理を把握することができます。弊社ではサイトリニューアルや戦略立案の際、ユーザー行動調査を主に行っています。

ユーザー行動調査では、以下のようなことが分かります。

ポイント①ユーザーの行動の理由
ポイント②ユーザーへの訴求方法
ポイント③サイト改善案の妥当性

ユーザー行動調査を行うとサイトリニューアルの基礎となる情報が獲得できます。これらについて3つのポイントに分けて順に解説してまいります。

ポイント①ユーザーの行動の理由

オフラインでの営業や接客と異なり、WEB上ではユーザーがどんな行動をして、コンテンツにどのような反応をしているのかは分かりません。

そこで実際にユーザー調査をしてみると、ユーザーの行動や反応は事業者の想像とかけ離れていることがよくあります。

◆例:実際のユーザー行動

  • ・ほんのささいなことでのWEBサイトの離脱
  • ・サービス説明を誤解する
  • ・訴求ポイントが全く響かない

例えば、イリーゼ様のサイトでは以下のような行動がユーザー調査で明らかになりました。

 

イリーゼ様の事例

イリーゼ様の「低価格で安心サービスを提供出来る理由ページ」では、低価格の理由として借り上げ形式や効率的な採用を訴求しておりましたが、ユーザーはそれを見て、

◆実際のユーザーの反応

というネガティブな印象を受けており、サイト離脱に繋がっていたことがユーザー調査によって把握できたのです。そこで、イリーゼ様では、低価格の理由として「グループ会社のリソース活用」を訴求することで、ポジティブな印象に変え、離脱率を押さえることに成功しました。

このように、ユーザーの反応はツールではなかなか把握することができません。ユーザー行動調査をすることで、ユーザーの実際の行動・反応が分かるようになります。

ユーザーのWEBサイト上での行動は、アクセス解析ツールを利用することである程度把握することができます。しかし、アクセス解析ツールでは、ユーザーがそのような行動を取る理由を推測することは難しいです。

ユーザー行動調査であれば、以下のような理由から、行動の「理由」まで把握しやすくなります。

・ユーザーが各ページ上でどのような行動をしたかまで分かる
(注視した / 見逃されたコンテンツ、離脱のきっかけになったポイントなど)
・ユーザーが持つ背景や前後の文脈まで分かるため、行動の理由を推測しやすい
(予備知識を持っている、他社と比較をしているなど)
・行動を観察したうえで、行動の理由を直接尋ねることができる

 

ポイント②ユーザーへの訴求方法

ユーザー調査を実施すると、ユーザーがサービス・商品を検討する際に重視している「訴求方法」が分かります。実際に自社サイトや競合サイトでの行動を確認することで把握することが出来ます。

例えば以下のような質問をユーザーに実施します。

調査員「〇〇の商品を購入しようといつものように検討・購入してみてください」

とモニターの方にお願いし、PCやスマホ上でのユーザーの行動を観察します。

そして、GoogleやYahoo!の検索画面にキーワードを入力して各サイトを閲覧していきます。その対象は自社サイトだけでなく、競合サイトも見ていくのでどこをみてクリックするのか、どんな文言に引っかかるのか等、ユーザーが求めているポイントを把握することが出来ます。

このように、自社サイトのみでなく競合サイトも閲覧してもらうことでユーザーへの「訴求方法」が分かります。

ポイント③サイト改善案の妥当性

ユーザー調査ならリリース前のサイト改善案もユーザーに見せて妥当性を検証することができます。

この調査用に見せるサイト改善案を”プロトタイプ”と呼びます。プロトタイプとは以下のようなサイト改善案の画面設計書のようなものです。

◆プロトタイプ(パワーポイントで作成)

プロトタイプはツールで作成することもできますし、パワーポイントでも十分です。実際のサイトではなくても、プロトタイプを見せることで、そのプロトタイプの印象や、ユーザーがそのプロトタイプを見て、予想どおりの行動をしてくれるかを確認することができます。

これにより、サイト作成前に、リニューアルの精度を高めることが可能なのです。

では、有効なユーザー行動調査のやり方を詳しくご説明していきます。

 

ユーザー行動調査の5つの手順

ユーザー行動調査は以下の手順で行います。

手順①仮説を立てる
手順②調査を設計する
手順③モニター(調査協力者)を集める
手順④調査を実施する
手順⑤結果を分析する

それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

 

手順①現状分析をもとに仮説をたてる

事前に仮説を立てることで、より的を絞った有意義なユーザー行動調査を行うことができます。仮説をたてるには、現状を把握する必要があります。以下のようなデータを事前に収集しましょう。

◆収集するデータ

・アクセス解析データ

・ターゲット層

・競合情報

・課題

・売上

これらのデータを集めて、仮説を立てます。

◆仮説を立てるときのポイント

・現在サイトにどのようなユーザーが訪れているか

・ユーザーの行動パターンと理由 ・サイトの課題

◆調査により分かること

・ユーザー層

・ユーザーの検討プロセス

・ユーザーのコンテンツに対する反応

・WEBサイト上での離脱ポイント

・WEBサイト改善案の妥当性

・上記の背景にあるユーザーのニーズや心理

現状把握と仮説を立てたら、次に調査設計を行います。

 

手順② 調査を設計する

1で立てた仮説を検証するために、どのように調査を行うかを設計していきます。

◆設計項目

  • ・検証事項(ユーザ像・行動パターン、流入文脈、コンセプトの妥当性、UIなど)
  • ・集めるモニター(デモグラフィック属性、自社・競合サービスやサイトの利用経験など)
  • ・ヒアリング項目
  • ・PC・スマホでのユーザーの行動観察のための準備

などを計画します。弊社で実施した、ヒアリング項目例は下記です。

◆ヒアリング項目例

このようにユーザー調査を行うための、調査設計を事前に実施します。

 

手順③モニター(調査協力者)を集める

調査の設計ができたら、実際にモニターを集めていきます。

◆3つのモニターの集め方

大きく3つの手段があります。

  • ・知り合いづてに集める
  • ・自社の顧客やサイト訪問者に呼びかける
  • ・モニター会社に依頼する

◆3つの集め方のメリットとデメリット

いずれのケースにおいても、サンプルに偏りがでないように注意する必要があります。例えば、知り合いづてでモニターを集める場合は、地域や出身校などが同じような人が集まることがあります。このように偏りがでると調査結果にも偏りが出てしまいやすくなるので、注意しましょう。

◆モニターへの謝礼

また、モニターには謝礼を支払うことが一般的です。集める難易度によって変える必要がありますが、相場は1時間5,000円~1万円程度になります。

 

手順④調査を実施する

モニターを集めたら、実際にサイトを利用してもらい、行動を観察します。

◆基本的な流れ

①事前ヒアリング
②行動観察
③振り返りヒアリング

それでは一つずつ解説します。

①事前ヒアリング

行動観察に入る前に、基本情報のヒアリングを行います。

◆ヒアリング内容

・過去の経験
・商品やサービスに対する知識レベル
・利用の背景

特に、行動観察を行うにあたって、サイトを見た際の状況を確認しておくことが重要です。

◆確認事項

・どのような経路でサイトを見たのか?(Googleで検索をした、メールのリンクをタップしたなど)
・そのときの目的は何だったのか?(知りたい情報があった、買いたいものがあったなど)
・どのデバイスで見たのか?(パソコン、スマホなど)

 

②行動調査

行動調査は「状況設定」からスタートします。どのような時に、どのデバイスで、何を目的にブラウザを開いたのか?など、できる限りリアルな状況を設定します。設定をせずに突然サイトを見せてしまうと、ユーザーは本来とは異なる行動を取ってしまいます。状況設定後は、自由に行動させること。自分の存在を意識させないことが大切です。行動を観察しつつ、理由を想像していきますが、気になった行動をとったところでユーザーにヒアリングを随時実施することもあります。

具体的には下記のようなやり取りです。

◆Aさんの例

調査員「○○はなんでクリックしなかったのですか?」
モニターAさん「文字が小さくて気がつきませんでした。気がついていたらクリックしてました」

◆Bさんの例

調査員「なぜ先程のページから戻ったんですか?」
モニターBさん「実際に通いやすいかをみたかったのですが載っていなかったので別のページを探そうと思いました」

③振り返りヒアリング

ここでは、行動観察のパートでモニターがそのような行動をした理由を深堀りしていきます。

◆Aさんの例

調査員「書類請求するきっかけになったのはどの部分ですか?」
モニターAさん「選ばれる理由のところです。細かいところまで良き届いたサービスがあると感じたので」

◆Bさんの例

調査員「この顧客満足度95%はどのようにおもいましたか?」
モニターBさん「まー大手で最低限安心できるかなとおもいました」

 

手順⑤ 結果を分析する

ユーザー行動調査で得た情報をもとにユーザー行動を分析し、課題の把握と改善案を検討します。

◆分析項目

  • ・行動パターン
  • ・行動要因
  • ・課題と改善案

このような流れでユーザー行動調査を行えば、ユーザーの真の行動と真意を捉えたWEBサイト改善を行うことができます。

つづいて、ユーザー行動調査において最も注意するべきポイントもお伝えします。

ユーザー行動調査を行う際のポイント

1.発言ではなく行動に着目する

2.リアルな状況を設定したうえで行動してもらう

 

1. 発言ではなく行動に着目する

ユーザー調査では、ユーザーの発言ではなく行動に着目する必要があります。なぜなら、ユーザーの発言は真実を反映していないことが往々にしてあるからです。

調査中であっても、あくまでユーザーは1人の人間なので、 「インタビュアーはこう答えてほしいんだろうな」ということを考えて答えてしまいます。

また、「説明を読んでも分からなかった」など、自分の能力を疑われそうなことは言いたがらなかったり自分の思いを言語化できないことがあります。実物を見ず想像で考えたものに対しては、実際のところ自分がどう対応するか予想できません。

特に最後のポイントは重要で、ユーザーのサイト改善に対する意見を鵜呑みにしてはいけません。「もっと明るいデザインが良いと思う」「こういう機能や情報があったらいいのに」などの意見は疑ってかかるべきです。

ユーザーの意見の不確かさを表すエピソードとして、こんなものがあります。

ある食器メーカーが新商品開発を行うにあたり、いくつかの試作品を作ってユーザにグループインタビューを行った結果、「おしゃれ」「これまでとは違う」などの理由から、”黒い四角いお皿”が良いということになりました。

しかし、インタビュー後に「謝礼として好きなお皿を持って帰ってください」と伝えたところ、ほとんどのユーザーが”白の丸いお皿”を持ち帰りました。

これに驚いた担当者が理由を聞くと、「家には白いお皿が多いので、1枚だけ黒くて四角いお皿があっても使いにくい、収納しづらい」という回答が得られました。

この事例では、まさにユーザーの意見と行動が乖離してしまっていることが分かりますね。

WEBサイトでも同様に、ユーザーに「こういう情報があったら良い」と言われたから実装をしてみたものの、実際には全く見られずに終わるというケースが往々にしてあります。

これらの実例から、ユーザー調査でも発言ではなく行動に着目することが重要であることが言えます。

 

2. リアルな状況を設定したうえで行動してもらう

行動観察には「状況設定」が不可欠です。 「どのような時に、どのデバイスで、何をしようと思ってブラウザを開いたのか?」など、できる限りリアルな状況を設定したうえで行動してもらう必要があります。

例えば、日用品を買おうとAmazonを見た場合と、友人へのプレゼントを選ぶためにAmazonを見た場合とでは、同じ通販サイトであっても使い方が異なりますよね? また、最初からAmazonで買おうと思っていた場合と、Googleで商品名を検索してAmazonにたどり着いたときとでは、同じページにたどり着いたとしても、そこまでに見たページや得た知識も変わってきます。

真のユーザー行動を見るためには、この状況設定が肝になります。 特に、調査協力者にとって全く現実味の無い状況設定をすると、リアルでない行動になってしまうので、注意が必要です。

まとめ

今回はユーザー行動調査の概要から、有効性、手順、注意点をご紹介しました。
ユーザー行動調査はWEBサイトの改善において有効な手段になります。 データ分析では推測できない、行動の真の理由を把握することができます。ユーザー調査により明確になった改善点をもとにサイトリニューアルをしていきましょう。

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また、弊社ではCVR改善を目的とした無料の勉強会を行っております。勉強会では、今回ご紹介したユーザー調査も含んだ「ユーザー文脈マーケティング」の手法もお伝えします。

ぜひ、貴社のCVR改善にお役立てください。 勉強会についてはお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人
今井 麻菜
MediaTheateにて営業アシスタントをしています。セミナー開催やブログ執筆等を務めています。WEBマーケティング担当者の方に有益な情報をお届けしていきます。

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